彼我の差
麻生太郎氏が首相になったのは昨年の9月24日。バラク・オバマ氏が大統領に就任したのは先月の1月20日。両者に共通しているのは、就任後最初の政策が景気対策だったことだ。
麻生首相の対策は、2兆円の定額給付金を含む12兆円の景気対策。対するオバマ大統領の方は、72兆円(7870億ドル)の大型景気対策だ。オバマ・プランを大型とは言ったが、評論家に言わせればこんな規模では焼け石に水、一桁違うという声も圧倒的に多い。
麻生プランはその6分の1だ。そして、散々1人12,000円の定額給付金が世論に叩かれたにも拘わらず、頑固に変えず、金持ちは辞退しろの、金持ちも受け取れの、どうでもいい方の答弁はクルクル変った。
内容の良し悪し、景気対策上効果有り無し、景気対策規模の適不適には敢えて触れまい。だが、どうしても見えてしまう彼我の差は如何ともし難い。
議会を通過したオバマ・プランは、2月17日、オバマ大統領の調印を経て正式に成立した。大統領就任から29日目の速さだった。麻生プランは?未だに成立もしていない。首相就任から5ヶ月にもなろうとするのに。
このスピード感の違いを指摘せざるを得ない。言いたくないけど、これが日本の現状。政治の現状。現在の金融危機、否、経済危機、否、世界恐慌に対する危機感と緊張感がここまで違うかと慄然とする(中川某氏には触れたくもない)。
しかし、敢えて麻生さんに同情的に考えてみた。それは、日本の首相とアメリカ大統領の違いが背景にあり、一概に麻生さんのリーダーシップの無さを責めるのは酷と言えなくもない、ということだ。
アメリカ大統領選は、1年も掛けて共和・民主両党の大勢の候補者が公開討論などにより徐々に絞り込まれ、両党を代表する候補者が決まる。その上で、1対1の戦いが繰り広げられ最後の大統領選挙で新大統領が決まる。
そういう1年間、アメリカ国民は否応なくテレビ・新聞を通じて、候補の人柄・考え方・実績・可能性を理解するようになって、最後の1人を選ぶ。候補者も自分が大統領になったら、こうするということを国民の前でそれこそ何度も言うし国民もそのことを選択基準に置く。
アメリカでわざわざ「マニフェスト」などと取り立てて言わなくても、1年間訴え続けた自分の政策は、訴える方と選ぶ方双方にとって軽々しく出来ない「約束」となる。アメリカの政治システムは、国民に約束したことは必ず、そして、早く実施しなければならないような仕組みになっているのだから、そういうアメリカに対して、1ヶ月で総理を決めてしまう日本は明らかにハンディーを負っている。
また、日本の首相とアメリカの大統領の権力の強さ・大きさについても、麻生さんはオバマさんに比べられたら可哀想。明文化されている権力のことではない。国民から直接選ばれた大統領の強さは国民をバックにしているだけに議員より遥かに強いし大きい。
同僚の議員から当番のように選ばれた日本の首相とはこの点に於いて決定的な違いがある。リーダーシップの差は制度の差から来ていると言ったら、言い過ぎか?多分言い過ぎだと言う方が多いだろうと思う。制度より個人の資質の差だと。
しかし、そういう質の悪い人間が一国の最高責任者になれてしまうのも、結局は制度の問題だと僕は思うのだが如何に?


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