プレミアムエイジ ジョインブログ
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青春賦(4)

バンド・メンバーを募集すると言っても、僕には当てがない。どうしたものかと思っていたら、地元出身のSが直ぐに2人を連れて現れた。背が高い方がO君、僕と同じくらいの背格好はA君。

Oはサイド・ギター担当、Aは何とサックスとキーボードをやると言う。Oはベンチャーズに憧れてエレキ・ギターをどうしてもやりたいと言うが、ギターそのものは全くの初心者だ。それに引き換え、Aのサックスは中学・高校通じて吹奏楽部で相当鍛えた腕前のようだった。

何は兎も角5人揃った。とは言え、僕にはドラム・セットなど直ぐに買えるお金もない。OもNもエレキ・ベースを持っていないのは同じだ。既に自分の楽器を所有しているのはSとAだけだ。但し、Aもキーボードの方は持っていない。

そろそろ夏休みに入る。みんな夫々、夏休みにバイトで稼いで必要な楽器やギター・アンプを買おうということになった。

僕は夏休み、故郷の長野に戻ってバイトを探した。なかなか見付からない。そうこうしている内に、友達が今自分のやっている材木店のバイトを引き継がないか、と言って来た。本人はサークルの合宿が始まってしまうので、僕に回してくれるという。

朝8時半、僕は喜んでその材木店に行った。

「おはようございます。神童といいます。某君の代わりに来ました。今日からアルバイトさせて頂きたいのですが・・・」
小さな材木店だ。店全体で従業員は2~3人しかいないようだ。
「ああ、彼から聞いてるよ。宜しく頼みますよ」
店主らしき人が言った。

早速、仕事が与えられた。僕は勝手に店内の事務か何かの整理かなと想像していたが、肉体労働だった。沢山の材木(丸太)が並べられている倉庫で、直径30cm未満の物を分別してそれを別の場所に運ぶのが、当面の仕事みたいだ。

太いのは周囲1mもあるので、軽い方を別の場所に運ぶということだから少しホッとした。が、それは甘かった。細い方は太い木の斜め下敷きになっていたりする。だから太い木の端まで行って持ち上げてずらし、今度は逆の端まで行って同じように持ち上げてずらしてやっとこさ目的の木材を持ち上げることが出来る。と思うのはもっと甘かった。

太い木の片側を持ち上げるのも相当力が要ったけど、細い木は全部を持ち上げて担がないといけない。その上、長さが4mほどもあろうか、バランスが難しい。ふらつきながらも何とか最初の木材を指定の場所まで運んだ。

身体を苛め抜いて鍛えたのは中学の野球部までで、高校3年間は軟弱な文化系サークルだったから、幾ら18歳の若者とは言え、こういう肉体労働は本当にきつかった。更に真夏の太陽が倉庫内を蒸し風呂にしている。午前中だけで何本の木を運べただろう。多分20本にも届いていなかったのではないか。

母親に用意して貰った弁当が旨かったのなんのって。午後は、少しは慣れて午前中よりも多く裁けた、と自分では思うのだが、5時ごろ店主がやって来て、「あれ、まだ終わってないね。じゃ明日残りをやってくれる?今日はもう帰っていいよ」と言った。

え!?今日中に全部やれということだったの?そういう目で見れば進捗はまだ3分の1にも満たない。とてもじゃないけど明日1日掛けても終わらないよ~。まあ、今日は帰れと言うから帰るけど、なんか気が重いなぁ。

夕食の時、僕は疲れ過ぎて食事しながらウトウトしてしまった。気が付いてまた食べてはウトウト。その夜は濡れ雑巾のように朝まで深い眠りに落ちた。

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