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偶然×9=奇跡(6)

【偶然その6】―もしも、1通の手紙が来なかったら、あり得なかった―

以前、当ブログでも取上げたので簡潔に触れるが、クーペが離婚した時はたった1歳だった実の娘さんから、ある日、店に手紙が届いた。手紙にはまだ見ぬ父への思いと共に、「生んでくれてありがとう」を言いたかったと書いてあった。

それまでサウナ暮らしを続けていたクーペに、一筋の希望の光が点灯した。「そうか。娘は俺を恨んでいなかったのか。一目だけでも良いから会いたい。だが今のままの俺では会う訳には行かぬ。会えるだけの誇りを持った人間になってから必ず会う」と決意した。

手紙の返事を出したかったが、娘さんの手紙には「何故か分からないけど、会わない方がいいと思う」と書いてあって、差出人の住所は書かれていなかった。仕方ないからクーペは返事を詩にした。その一部始終を直ぐ傍で見ていたShifoがその詩に曲を付けた。クーペはその曲「25年ぶりの手紙」をその日から店で歌い始めた。

暫くして、客の中に偶然、東芝EMI(当時。現EMI)の営業マンのN氏がいてその歌を聞いた。彼は翌日会社に出社するなりプロデューサーのT氏に、こういう心に沁みる歌を歌う人がいると伝えた。何日か後、T氏はN氏に案内されて「Stand By Me」にやって来た。

クーペのその曲を聞くなりT氏は「CD出しましょう」と言ってくれて、後はとんとん拍子でことが運び、クーペ55歳にして始めてメジャー・デビューを飾ったのである。

東芝はクーペのデビューに際して、あらゆる方面に情報を流してくれたらしく、以降、店にいろいろなテレビ局や新聞社のカメラ・クルーが何度も訪れてインタビュー撮りが行われた。

連日だから、店がなんだか番組作りのスタジオ様になり、たまたまその時飲みに来た客はエキストラの客にさせられたり、クーペの感想を聞かれカメラに収録されたりしたのだった。客にしてみりゃ、飲みに寄ったばかりに昼間の仕事よりも緊張させられたんだからどうなってるんだか。それも飲み代払って。

テレビでは3局が、ワイドニュースで特集を組んで「25年ぶりの手紙」の歌とクーペの生き様を放映してくれた。安藤キャスターも小宮悦子も感激の面持ちでコメントしていた。新聞各紙にも大きく報道された。

ただね、僕もKも、カメラ・クルーが来た日に、たまたま店に行ったので、店の常連客として、夫々30分以上もインタビューを受けたんだ。クーペや店に関しての質問をね。彼の歌の何が良いかとか、貴方はこの店のどこに惹かれるのかなどだった。それが本番のオンエアでは、Kは画面一杯に長いこと映り、堂々と受け答えしてるんだよね。なのに僕の方は全面カットされていたんだ。クソー、TV朝日!もう見ないぞ!

娘さんが手紙を書かなければ・・・、クーペとShifoが返事を曲にしなければ・・・、店にレコード会社の人が来なければ・・・、クーペがメジャー・デビューするチャンスはなかったし、こんなにマスコミが大挙して押し寄せることはなかった。偶然の連鎖の為せる業以外の何者でもない。

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