プレミアムエイジ ジョインブログ
Random header image... Refresh for more!

偶然×9=奇跡(7)

【偶然その7】―もしも、気のいい音楽好きが集らなかったら、あり得なかった―

「Stand By Me」は生演奏の店だから、音楽の好きな人達が集るのは必然だ。ただ、店の入り口も中も黒が基調で怪しいし、マスターはどう見ても危ない人に見えるから、本当に気のいい人が入るには相当な勇気と覚悟を有する店なのだ。

クーペは以前から、「神童さん、バンド作んない?おじさんバンド」なんて僕に言ってた。「他に誰がいるの?」と聞くと「会計士でサックスやクラリネットをやる人がいるんだよ」。でもね、サックスとドラムだけじゃバンドにならない。

ある日、KにShifoが言った。Kは僕と同じ会社の社員で、この店に僕を連れて来てくれた男だ。

「ヨッ君。コンガが欲しいんだけど」
前の週の週末に彼がパチンコで大勝ちした話をした直後だった。
「いいよ。頼んどいてよ。大体が幾ら位するものなの?」
「多分4~5万円くらい」
「分かった」
「ヨッ君が、コンガやるんだよ」
「いいよ」

ヨッ君というのはKのこの店での愛称なのだ。後日、正式におじさんバンドのパーカッションを担当することになるヨッ君とは彼のことだが、この時は妙に心配になって、会社で彼の真意を確かめたんだ。

「幾ら彼等を応援しているからと言って、簡単に4~5万も出すことないぜ。ホントにコンガ始めるつもりあるの?」
「ええ。神童さん見ていると楽器が出来るのってすっごく羨ましいっす。出来るかどうか分かんないけど俺もやってみたいっす」
「そうか、分かった。じゃ、一緒にやろう」

これで3人目か。まだバンドになんないな。

暫く経って、フォーク・ギターを弾きながらオリジナルを歌う、市役所の局長さんで斉藤さんという人が店で演奏していた。僕は初めて会ったが店に来たのは今日で2回目だと言う。人の良さがにじみ出る人。明るい。歌のオリジナリティーも素晴らしい。4人目。

でも肝心のピアニストがいないものかなぁ。

願えば叶う何事も。いた。大学教授なのにピアノ大好き人間登場。30歳までは銀座や六本木でプロ・ピアニストとして鳴らしていたが、その後大学に戻って教授になったという変り種。彼のジャズ・ピアノは聞いてるだけで吸い込まれて行く。

彼はたまたま急病の同僚を病院に送った後、食事のために病院から一番近いこの町に初めて立ち寄り、焼き鳥屋で飲んでいたら、向かいの怪しげな店が気になってついつい入ってみたと言う。

待望の5人目、ピアニスト。それも元プロだから凄いでしょ。これでバンドが構成出来る。と思った時、オーナーの純二さんが、「じゃ、俺、ウクレレやるよ」。6人目。それから半年遅れて、アンディー・ウィリアムスのような甘い声を持つボーカリスト、コンサル会社の社長、マンディーが加わって7人のジジイ達となった。勿論、年取った白雪姫はShifo。

夫々仕事では責任ある立場。多忙を極めるその7人が4年経った今も一人も欠けず、一人も入れ替わらず、バンドとして続いているのはもう一つの奇跡でしょ。当時平均年齢52歳。今56歳。こんなおっさん達がこんな年になって偶然集まったにしては、もう何十年来の親友のようになっているのだから不思議でしょ。店のオーナーの純次さん、「このバンド、もうみんな家族のようなものだね。これがホントの‘身内シャン’なんちゃって」だって。

0 comments

コメンはありません。

下記のフォームへの入力が必要となります。

コメント欄