小説家は大変だ
この春から、何人かで分担してある小説を書いて来た。ある団塊世代の男の生き様を通して、夫々の時代の空気と人々の心、時代を牽引する役割と時代に翻弄される世代、沢山のことを見て来た先に、団塊世代の最終章はどんな役割が残っているのか、果たさねばならないこととは何か、その辺りを提案型小説として取り組み始めて、やっと第一次原稿が仕上がった。
400字詰め原稿用紙にして、約600枚の大作だ。ここから、贅肉部分を削り一捻り二捻り加えて、約3分の2程度に圧縮する作業が待っている。
物語は、昭和22年生まれの団塊初年度の男の幼い時から始まり、63歳の誕生日を目前にして急死するまでを描いた、団塊世代版「男の一生」の趣でもある。団塊世代は別名「全共闘世代」でもある。熱い恋に落ち、若き日の正義感に燃え、そして挫折して行った日々。
学生運動の中で、政(冶)と産(業界)を批判しながら、その産に就職する人生最大の妥協・転向を図った世代。その自己矛盾を忘れ去ろうとするかのように、徹底した企業戦士として仕事に邁進する主人公達。そんな人々の頑張りがあって高度成長を成し遂げた。
極端に人数が多く、それだけに競争意識もとびきり高く、人一倍頑張る世代。それが団塊世代。それ故に、彼等の前の世代からも後の世代からも警戒され、後続の世代からは決して好ましく思われなかった世代。(自分の幸せしか追求しない世代。次の世代のためにないも考慮してくれなかった世代という批判)
日本はやがてバブル絶頂期へ。主人公の周りにも、多くの人間がバブルに踊り踊らされ、滅び去って行く。時代はバブル崩壊から、厳しい日本経済の続く中で、生き残りを賭けた経営統合の時代へ移る。
主人公は大車輪で自分の任された分野の合併作業を進めるが、相手社との調整ばかりでなく、自社内の調整にも苦戦し、遂には失敗に至る。初めての大黒星を喫してしまう。その3年後、主人公の仲間であり良きライバルだった男が新社長になるのを見届けて我が儘退社する。
その後中小企業の再生ビジネスを手掛け、大企業にいては決して分からない、零細企業の厳しさを身を持って感じながらも10社以上の再建を果たした。だが、リーマン・ショック以降、世界経済も日本経済も奈落の底に落ちて行く。特に日本は惨憺たる状況。再建が成り希望に満ちた顔で社長に就任したあの中小企業の新経営者達(元従業員)達。その多くは夜逃げ・失踪・心中。
自分のやった企業再生は何だったのか?再建のために一緒に汗水流した者を社長にしてやったことが最悪の結果を招いてしまった。日本経済がしっかりしなければ、中小企業などは自助努力ではどうにもならない現実を見た。政治家はこの現状にどれだけ責任を感じているだろうか?日本の再生無くして企業の再生なし。これが主人公の結論だった。主人公は遂に仲間に「企業再生から日本再生へ」を宣言する。
そんな物語だ。これまでの懺悔の書のつもり、これからの生き方の提案書のつもり。仲間内だけの本。だが、内容はまだまだ変わる。どうなることやら・・・。いつになることやら・・・。主人公の浮気の場面などは残念ながら僕の分担でなかった。一番書いてみたかったのに。それにしても一つの小説を仕上げるというのは大変なことだった。
-書いてみて、初めて分かる、大変さ、小説家達の、孤独な作業-


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