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お寺でライブ

一昨日の日曜日の夜、八王子の龍谷寺という曹洞宗のお寺で、「クーペ&Shifo」と一緒にライブをやって来た。

鎌倉の建長寺ライブは有名で、桑田佳祐も何度かライブをやっているし、ジャズのトップ・アーティストも大勢そのお寺で演奏しているようだ。だから、最早お寺でライブとか古民家でライブとかは珍しくないのかも知れないが、僕にとってはやるのも見るのも初体験だ。

最初はお寺の本堂みたいな場所でやるのかなぁ、とか、葬儀参列者が精進料理を食べるお清めの場所となる食堂のような所かなとか、いろいろ想像しながら現地に着いた。確かに、お墓も沢山あるし、大きな仏像も立っているからお寺のようだけど、建物内はとてもお寺とは思えないモダンな感じだった。

まず住職に案内されたのは多目的ホールだった。椅子席で50~60人程度が座れる小振りのホールだが、グランド・ピアノは置いてあるし、ステージはあるし、おまけにステージ中央にはお賽銭箱が鎮座ましますのが笑えた。壁はコンクリート打ちっぱなしのイメージを壊さないように音響にも配慮しているのが分かる本格的なホールなのだ。

僕達おじさんバンドのメンバーは、ここでライブをやるのだろうと思い、楽器類を全部この部屋に運び終わったところで、クーペが何か言ってる。「このホールじゃないのよ。おじさんバンドは中庭でやって貰うので、そっちに運んでよ」。「???」。本堂と思われる正面入口から靴を脱いで上がると、目の前は立派な大きな和室だ。その廊下の外が中庭になっていた。庭に近付いて見ると、中庭の四方が廊下で囲まれていて、更に廊下の外側は和室や事務室が囲んでいる構造になっていた。

中庭も真ん中にオブジェがあり、玉砂利が敷き詰められている。その玉砂利が竜安寺の庭園のように綺麗に波の模様に設えられている。

「神童さん、あの辺にドラムをセットして」と、クーペ自ら中庭に降り、サンダルごと思いっ切り玉砂利を踏ん付けて歩いて行く。おいおい、庭園をめちゃくちゃにしていいの?だが、住職が来て「延長コード用意しましょうか?」なんて楽器用の電源を心配してくれる。中庭に降りて演奏することは住職も承知しているようだ。

僕も庭に下りてみた。へ~、ここで演奏するのか。お客さんは和室で座って聴くのだろう。この雰囲気、どう見てもお寺ライブのイメージじゃないね。モダンな料亭かホテルの中庭ライブと言った方が近い雰囲気だよ。

ライブ一部は、ホールでShifoのピアノにフルートが入ってのShifo弾き語り。6時に始まった。クーペも一曲歌った。最後にクーペが僕をステージに呼ぶので、何か歌えと言うのかと思ったら(そんな訳ないか)、挨拶せよと言う。何も用意していなかったから何をしゃべったか覚えていない。歌の用意はバッチリだったのに(嘘)。

二部はいよいよ中庭ライブ。僕等の出番だ。20分の休憩中にお客さんはホールから和室に移動した。月桃蕎麦という沖縄蕎麦を食べながら、お酒を飲みながら、僕等の演奏を聴いて貰うという趣向だ。

夜7時。さっきセッティングしてた時と違い、空は真っ暗だ。ほんのり灯った竹明かりと、中庭を照らす建物備え付けの照明で、僕等が映し出され、和室側の電気が消されて演奏が始まった。

何か神秘的だし、季節も丁度良くてとても気持ちが良い。「鈴懸の径」を皮切りに、「マイアミ・ビーチ・ルンバ」「メモリーズ・オブ・ユー」「ルート66」「月光値千金」の5曲を(Shifo抜きで)おじさんバンドだけでやった。僕も、気持ちが良い分ノリノリでドラムを叩いた。

Shifoとフルートのマキさんが参加し、「枯葉」、Shifoのボーカルで「お祭りマンボ」(マンボなのにスウィングで)、更にクーペが登場して「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」「聖者の行進」、そして、アンコール曲に「雨を見たかい」の全10曲を演奏し切った。

お寺さんのご利益(ごりやく)があったのか、僕もノーミスで、ドラムが走るいつもの悪い癖も引っ込んでくれていて、楽しかった。演奏が終ってこんなに気持ち良く満足感一杯のライブは、もしかしたら初めてだったかも知れない。

終わってから和室に上がって頂いたビールと月桃蕎麦が旨かったこと。極楽極楽。住職が、「この中庭で演奏して貰ったのは今回が初めてだったけど、とても良かったですよ。来年の春頃またここでやって下さい」って言ってくれた。「もう2度とやらないでくれ」という顔はしていなかったから、満更お世辞でもなさそうだ。

クーペも言った。「何故かおじさん達、上手く聞こえたよ」。これ、クーペの最高の褒め方。だけどこちらは、顔に「場所が良かったせいだね」と書いてあった・・・。

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