あの頃僕等にはマドンナがいた(4)
Yに、僕とK子とのやり取りの一部始終を伝え、一応3人で食事する方向で彼女は了解していると思うから、早速約束を取り付けるように言った。そして、僕はドタキャンすることも付け加えた。
「僕の方はバンド活動の予定が急に入ったとか何とか言ってさ、取り繕っておいてよ」
「そんな、人を騙すみたいなこと、良くないよ」
「お前な!俺はキューピットとしてだなぁ、最大のお膳立てをしようとしているのに、何だよ」
「でもさ、彼女は僕と2人だけじゃ厭だと思ってるんだよねぇ?」
「そうじゃないよ。いきなりお前と2人ってのが恥ずかしいだけだよ」
「そうかなぁ」
「お前って、本当に面倒臭い奴だなぁ。じゃぁ、K子とデートなんてもうやめちゃえよ!代わりに俺がデートするぞ!」
まんざらハッタリだけでもないんだ。
「わ、分かったよ。食事に誘ってみる」
その後Yから何も連絡がなかったから、きっと旨く行ったんだろうと想像していた。僕の方は、本当にバンド活動が忙しくなっていて、最早Yの恋の行方を心配するどころではなくなっていた。
あれから、2ヵ月後、大学のキャンパスで、いつもK子と一緒にESSグループ活動に参加していたH美にばったり会った。暫く立ち話をした。彼女の話だと、K子はYと付き合い始めたと言う。そして、H美が笑いながら打ち明けた。
「実はね、私も秘かにYさんが好きだったの。だから、Yさん主宰のESSのグループ活動には必ず参加してたんですけど・・・」と。
「やっぱりね。僕の第六感でもそうじゃないかなと思ってたよ。それにしてもYはもてもてだな」
「いえ、K子は最初からYさんじゃなかったんですよ・・・。世の中って旨く行かないものですね。」
H美の意味深な言葉に、じゃぁ、K子の最初のお目当ては誰だったの?と聞きたいところだったが、それ以上は聞かぬが花と思いH美と別れた。
ある時、Yが僕の下宿にやって来て、経過報告と称してK子とのことを伝えに来た。
「お蔭様で、K子とは頻繁にデートする仲になれたよ。神童にはホントに感謝している」
「ああ、そりゃ良かった。ライバルのBとかDとかがいたけど、もう、完全にケリが着いたと言うことだな?」
「そう思って貰っていいよ」
「やったね、Yよ。ところで2人はどこまで行ってるのさ?」
「それは、想像に任せるよ」
へぇ、あの堅物を絵に描いたようなYがねぇ、やるもんだ、とその時は思った。


0 comments
下記のフォームへの入力が必要となります。
コメント欄