プレミアムエイジ ジョインブログ
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あの頃僕等にはマドンナがいた(6)完

本当は僕の方が怒ってたのかも知れない。

ゲームにも歴史にも「もし」はないことを承知で言うと、もし、最初にYからK子とのキューピット役を頼まれて会ったのでなければ、もしかしたら、K子の相手はYでなく僕だったかも知れない。

何故なら、ナタリー・ウッドとスザンヌ・プレシェットを足して2で割ったような(言い過ぎですが)K子と初めて会った時の胸のトキメキは今でもハッキリ覚えている。彼女は間違いなく僕の心を乱した。が、しかし、どの道僕は他の大学の女子大生と付き合っていたから、K子と付き合うことにはならなかっただろうが。

Yのために自分はK子と親しくなってはいけないという意識が、僕をして、YのライバルのBやDのようにK子に対して積極的に行かせず、遠巻きにK子を見るようにさせていた。それを知ってか知らずか、そういう僕を、K子は好ましいと思っていたのかも知れないし、もっと僕と話してみたいと思っている(らしい)ことも分かっていた(思い過ごしかも知れないが。いや思い上がりだという誰かの声が聞こえる)。

Yが席を蹴るようにして去って行き、暫くしてやっと、自分の怒りの混じった、持て余し気味の感情の由来が判った。僕が自分のK子に対する気持ちを完全に抑え、Yのために最善を尽くしたのに、YがK子に対して命懸けでないことに腹を立てたのだということを。それであれ程Yにずばずば言ってしまったのだと分かった。

そのYと何年か振りで最近飲んだ時に彼が言った。

「この前な、大学のサークルのOB会があったんだ。OB会と言っても僕等が4年生の時の1年生までの集まりだったんだけど、そこで40年振りにK子と会ったよ」
「へぇ。40年振りとは凄いことだな。彼女元気だった?」
「うん、とても元気だったし、美貌は全然衰えていなんだよ。子供を3人産んで、もうアラ還(約60歳)なのに」
「そうかぁ。俺も会ってみたかったな。でも俺ESSじゃないしな」
「何年かおきにやってるんだけど、K子が出席するとなったら、今回男性陣が大勢参加したものねぇ。次回はお前も呼んでやるよ」
「いや、いいよ。今でもおれESSは苦手だから。それにしてもお前さぁ、昔プロポーズして振られた女に会うって、厭じゃないのか?」
「もう、昔のことだし、正直会うのが楽しみだったくらいだよ」
「フーン、そんなものかねぇ」
「怨讐の彼方、って言うけど、40年も経ってりゃ、寧ろ昔自分が見初めた人に会えるというのが嬉しいことだよ」
「そうか。だったら良かったねと言っとこう」
「それに彼女さぁ、俺にね、結婚ってタイミングと言うか、ホントに縁なんですねぇ、ってしみじみ言うのよ。あれは彼女なりの俺と過ごした青春時代の総括だったんだろうな」
40年振りに会った昔の彼氏に、他にどういう言い方があると言うのだ。でも、40年経った今は僕も大人だから、Yにそうは言わない。
「そうか。彼女の結婚生活も幸せだったみたいで良かったじゃないか。不幸せになった昔の彼女は見たくないものね」

大会社の取締役まで務めた奴なのに、Yの単純さはあの頃と全く変わっていない。しかし今では、そこがYの持ち味になっているし、好人物を印象付けるキャラクターとなっている。もう、何も言うまい。あの頃にはもう戻れないのだから。

あの頃僕等にはマドンナがいた-完-

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