プレミアムエイジ ジョインブログ
Random header image... Refresh for more!

禁煙(2)

2回目は、会社の同僚(一年後輩)のSと一緒にやった禁煙。それは、2人が米国への50日間に亘る研修旅行を控えていたので、何かとタバコを吸ってると面倒臭いと聞いていたから、示し合わせて2人でやめたのだ。

禁煙して6ヶ月強が経った頃、2人はアメリカに飛んだ。最初の滞在地シカゴ。チューリッヒにある保険会社のアメリカ支社に2週間お世話になって、社内の全業務のレクチャーを受けた。日本人は僕等2人だけ、説明は勿論英語、こちとら2人は簡単な日常会話しか出来ない。

英語での難しいレクチャーは、頭の変なところが疲れる。目一杯の集中力が必要、それも長時間続けないといけない。説明の所々で「OK?」と聞かれるので、いつも「OK」じゃ失礼だから、質問もしなければならない。

2人の作戦は、どちらかと言えばヒヤリングの方が得意なSを聞き役に、その逆の僕は聞いたふりして、その間に次の質問の英文を考える係り。

講師は変だと思ったろうな。レクチャーの内容とは全く関係ない質問が返ってくるんだからね。

まぁ、こんな珍問答をやりながら、講義終了後は講師がその日の当番になって、レストランや、野球場や、遊園地など、シカゴの様々なスポットに連れ出してくれた。それ自体は嬉しく楽しい時間ではあったが、こういうオフの時間も、僕等はリラックスする訳には行かなかった。全部英語だからね。

そうこうしている内に2週間が経ち、僕等のために開いて貰った「フェアウェル・パーティー」で用意して来た感謝のメッセージを流暢にしゃべって(会話でなく暗記してきた英文をスラスラ話すのは得意だった)、初めて驚かれ、シカゴを飛び立った。

次の訪問地はテキサス州ダラス。ケネディー大統領が暗殺された場所。それもあって、先入観としては荒涼とした南部の町と思っていたが、さにあらず。全面ガラスに覆われ太陽にキラキラ輝く高層ビル群。兎に角建物が近代的。ついでに、街行く若い女性達がファッション誌からそのまま出て来たような、超美人がやたら多い大都市だった。

そのダラスに、会社の駐在員事務所があって、そこに1週間寄らせて貰い、ダラス市内の企業を訪問する予定だ。

それは兎も角、駐在員のKさんは、初日の夜早速僕等を自宅に招いてくれた。奥様の手料理を頂き、2週間振りの日本食に大満足。何よりも、ここダラスはKさんの家で日本語で過ごせたことが嬉しかった。そして、明日からの会社訪問もKさんが同行してくれるので、英語はKさんにお任せすれば良いのだから、何か一気に緊張感が解けてしまう。

その時だった。Kさんが僕等に聞く。
「あなた達、煙草はやるの?」
「いえ、只今禁煙中ですから」
Kさん立ち上がって、隣の部屋へ、そして何やら手にして戻った。
「昨年、あなた方の先輩のⅠさんとNさんが我が家に来られた時、日本からこれをお土産に2カートン持って来てくれたんだよね」
と言って、セブンスターを1箱ずつ僕とSの前に差し出したのだ。

「美味しいよね。日本のタバコは」
と言いながら、自らも1本取り出して火を着けた。
「ふ~、旨い!皆さんも遠慮なさらずにどうぞ、どうぞ。ダラスにいる時だけでもリラックスしたら良いと思いますよ。次の都市に行ったらまた禁煙すればいいんだから」
「じゃぁ、1本だけ」
僕とSは一緒にタバコに火を着けた。
「ふ~。旨い!ウ~ン、煙草ってこんなに旨かったですかねぇ」

Kさんからアメリカでの生活やダラスの町について、裏話含めていろいろな話を聞きながら、僕等は立て続けに吸い、あっと言う間に半年前に戻っていた。Kさんが言った。
「やっと去年の敵を討てた」
「え?どういう意味ですか?」
「あなた方の先輩が去年ここに来られるまで、実は私ね、1年間禁煙してたの。それがサ、このセブンスターなんぞを持って来てくれたもんだから・・・。吸わなきゃ悪いよね。やっと禁煙が成功したと思ってたのに、それがキッカケで復活しちゃったって訳よ」
「・・・」
「だから、あなた達に復讐したの。あぁ旨く行った。煙草も今日は特別旨い!」

0 comments

コメンはありません。

下記のフォームへの入力が必要となります。

コメント欄