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ライブ三昧の週末(2)

翌日の日曜日は、今度は原宿の「南国酒家」という中華料理店の中のホールでライブをやることになっていた。「クーペ&Shifo」がとある会合で演奏を頼まれたのである。

その会合というのが、実は、右のつばさ(翼)系の大物会長X氏の還暦祝いのパーティーなのだ。クーペとは30年来の友人関係らしい(クーペの方が1歳上)が、不遇時代にクーペがいろいろと助けて貰った人だと言う。

「クーペ&Shifo」の主催コンサートは勿論、彼等が営業で(招かれて)ライブをやる時もおじさんバンドは都合の付く人は必ず参加することになっている。おじさんバンドメンバーはみんな仕事を持っているので、平日は難しい人が多いのだが、土日はなるべく参加しようと努める。

しかし、この日は日曜日なのに、何故か参加者は僕とベースの純次さんの2人だけ。右のつばさの会合だからか、辞退者が多い。何だよ~、みんな。何ビビッてるの?原宿でライブなんて初めてでしょう?右のつばさの会合への参加なんて、めったに出来ない貴重な体験だよ。

Shifoは、おじさんバンドの参加が少なかったからか、フルートの女性とギターのセミプロ(普段は豆腐屋さん)にも頼んだ。

当日、現地に着いてまずは会場に向かった。受付の周囲には、黒系のスーツにスキンヘッド。そういうのが何人もいる。彼等を束ねる幹部の人だろうか、40歳前と思われる、えらく恰幅の良い人もいた。何か、張り詰めた空気を感じる。

事前に会場は広いと聞いていた。確かに広かった。10人用中華丸テーブルが20はある。だが、舞台はえらく狭い。舞台と言っても備え付けの舞台がある訳ではない。挨拶や表彰が出来る程度の大きさの特設ステージだ。

クーペと話して、ドラム(僕)とベース(純次さん)はステージに乗らないでその外側両サイドでやることにした。ステージ上は前列に「クーペ&Shifo」(Shifoの前にキーボード)とフルート、後列にギターという配置にすることにした。

但し、第一部はセレモニーだから、楽器のセットアップは、それが終わって歓談に入ってからという要請だった。だが、問題がある。円卓が最大限の数並べられたせいか、椅子と椅子の間が狭いのだ。怖そうなお客さんの間を、大きな楽器を運ぶ勇気はとてもない。ドラムセットはバスドラ無しで、スネア・ハット・シンバルの3点セットだけでやることにした。こんなの初めて。

僕等は歓談が始まってから会場に入れば良いのかと思っていたら、僕等バンド・メンバーの席もちゃんと用意されていた。第一部のセレモニーから参加しなければいけないことになった。右のつばさ会の一員にされてしまったようで、どうも按配悪い。

主催者側代表幹事の××隊長からの趣旨説明あり、同業の他団体代表からの挨拶あり、X氏への賛辞あり(X氏がいち早く、韓国が対馬の領有権を言い出したことに対抗して、対馬防衛隊を組織したことへの謝意と賛辞)。

それで分かったのだが、X氏は、街宣車に書かれたよく見掛ける名前の団体の会長であり、且つ、同業の連合体の中枢も務める正真正銘の大物だと言うことが分かった。金融機関で言えば協会の理事長に当るポストだ。道理で、あまり目を合わせたくない貫禄ある年寄りの数も多い。

そして、X氏からの答礼挨拶。最後に、全員起立で万歳三唱。この万歳三唱は言うまでもなく「天皇陛下万歳!」だった。

(つづく)

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