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愛しのコーラス隊

 
  彼女達が市の公民館や図書館などが入っている建物のサロンで、クリスマス・コンサートを開いた。コーラス隊の名前は「TUBASA」。昨年まで、「クーペ&Shifo」のバックコーラスを務めていた。と言うより5年前、Shifoが地元の希望者を募って誕生したコーラス隊だった。

  メンバーは入れ替わりもあるが、男子2~3人(その内の1人はおじさんバンドのボーカリスト斉藤さん)、後は全部女性で年齢層は20代から60代とバラエティーに富んだコーラス隊なのだ。

  おじさんバンドも昨年まで4年間、日比谷野音、よみうりホール、国際フォーラム、NHKホールなど全部彼女達と一緒に出演して来たから、心通じる音楽仲間だった。

  その頃、僕が感じていたのは、音楽って凄いなということ。60歳過ぎの僕にコーラス隊の若い女性が、気楽に話し掛けてくれて、同じ音楽仲間として一切壁なく対等に会話してくれる。コンサート後の打ち上げなど何度も彼女達と飲み会で盛り上がり楽しかった。

  正に音楽は性別も年齢も簡単に乗り越えるということ。僕にとっても、多分他のおじさんバンドにとっても、元気を貰えるという点で、それが何よりも嬉しいことだった。

  ところが昨年の秋、Shifoのプロ活動が超多忙になり、彼女が継続してコーラス隊を指揮するのが難しくなり、以降は自立して活動することになったのだった。

   偶然、コーラス隊の中に、Shifoと同じ国立音大出身の女性がいて、その後は彼女がShifoに代わって指導している。

  だが、当初からのメンバーの中には、この独立・自立が「自分達は切られた」と感じる人達もおり、この1年間、2度と一緒にコンサートを行うことはなくなっていた。

  その後コーラス隊は総意によって自立の道を模索し始め、昨年のクリスマスに、冬空の下、ストリート・ライブを敢行し独自路線を歩み出したのだった。

  そして自分達のコンサートを公共ホールなどで自前で開催するまでになり、この土曜日、サロンでのクリスマス・コンサートの運びとなったのである。斉藤さんに事前連絡を受けていたので、久し振りに彼女達の顔を見たいと思って出掛けたのだ。

  また、斉藤さんは、メンバー達はShifoさんに4年間育てて貰ったから今があると感謝しているとも言う。僕はある可能性を胸に会場に向かった。

   「聖夜」「ホワイト・クリスマス」「もろびとこぞりて」・・・。驚いた。9月にも一度彼らのコンサートを聴きに行っているが、その時に比べると格段にハーモニーが綺麗になっていて、みんなの音程がしっかりしている。男性陣もたった3人だが、良く声が出ていてグッド。何よりも、みんなが「楽しい!」と思って歌っていることが身体全体に現れていて、それが素晴らしくて、聴いているこちらまで楽しくなる。

  終ってから、何人かのメンバー達と軽い食事を兼ねた乾杯の場に入らせて貰った。そして、夕方からストリート・ライブをやりにコーラス隊が中座した後も、残された僕とコーラス隊メンバーの旦那さん(Aさん)と、マク(クーペ&Shifoの前マネージャー)との3人、大いに盛り上がったところで僕はAさんに聞いてみた。

「また、クーペ&shifoとコーラス隊が一緒にやるってのは難しいですかねぇ?」

「うーん。神童さんのお気持ちは嬉しいんですが、そうなるにはもう少し時間が必要ではないでしょうかね」

「これ以上時間が経てば経つほど難しくなっちゃうだろうと思うんですよ」

「でも彼女達のトラウマが消えていないから、正直、今は難しいと思います。そこを無理に何かやっても良い結果にはならないような気がするんです。自然体で行くしかないかと・・・」

「分かりました。自然の流れに任せて、何かサプライズが起きるのを待つのが良いということですね? じゃぁ、この話、打ち切ってどんどん飲みましょう」

  酷い二日酔いになった。蕁麻疹が復活してしまった。

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