不況の歳末
家の近くにOPAという商業施設があり、その5階に紳士用カジュアル洋品の店「MX」がある。僕は時々そこでTシャツやトレーナーを買う。若者の店なのだが、他と違って落ち着いた感じがするので、僕でも入れる数少ない店だ。
それが、1月末をもって店仕舞いしてしまう。12月初めから現品限りの一掃セールを始めていたので、一回だけ覘いたことがある。その時は、ダウンコートを30%引きで買ったのだが、今日、自分に合うマフラーでもあったら買おうと思って再び立ち寄ってみた。
何と全品50%引きとある。この1ヶ月で商品は半分ほどに減っているように感じた。閉店セールはそれなりに成功しているのだろう。半額で投げ売りしてでも現金に換えて店を閉める。一消費者としてみれば安いのは良いことだけど、他にもOPAに出店している店が数店年末をもって閉店した。こんなところにも日本経済の深刻さが窺える。
さて、マフラー。今使ってるマフラーも2年前同じMXで買ったものだが、もうかなりくたびれて来たので良いのがあったら買い替えたい。探した。あった。遠目にも「あれ、いいな」と思うのが掛かっていた。近づいて見ると、今使っているのと色違いのもののようだった。同じ種類は他にはなく、他は全部若者向きだからそれを買うことにした。
正札を見た。「500円!」。「うそ!」。もう一度見る。やはり「500円」。「安ぅ!」。元の値段は4千円となっている。もうこれは「持ってけ、泥棒!」のレベルだ。申し訳ないような思いでカウンターへ。
「ありがとうございます。マフラー1点で、250円です」と店員さんが言う。
「え? 500円でしょう?」と僕。
「昨日から年末セールで全品50%引きですから」
「あっ、あっ、そうなんですか」
驚いたのなんの。4千円の品が250円とは! 見ず知らずの人に理由もなくタダ同然で頂いたようなもの。恥ずかしいような、悪いような。
何故か冷や汗を掻きながら、そそくさと店を後にした。そして思った。僕が唯一行けるカジュアル洋品の店がなくなってしまうのは淋しいものだな、この250円のマフラーが買い納めか、来年は、全部カミサンに任せるしかないかなと。
どこまで続くやら日本の不況。新年に期待したいものだ。


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