初詣
普段はカミサンと僕だけの2人暮らしだが、年末年始だけは子供達が帰って来るので、少し賑やかになる。だが、今回は、札幌の女性と7月に結婚し、その後大阪へ転勤になった息子夫婦の最初の里帰りとなるので、いつもと違う。
彼らは、まず、新幹線で東京に来て、12月の27日28日の1泊2日を我が家で過ごし、その後、2人で羽田から札幌に向けて飛び立つ。なかなか大変なのだ、遠い両家の親元を訪ねるのは。
その上、新妻は身籠っていて、6月出産予定だという。妊娠4ヶ月目辺りだからツワリも収まり、今は安定期だから旅行しても良いらしいが、何か心配だ。
一方、我が娘からは、仕事が立て込んでるらしく、31日か元旦に帰るとのメールが来ている。そんな訳で、年末と年始に分かれて家族が集まることになり、1月2日恒例の初詣は、僕等夫婦と娘の3人で出掛けることになった。
初詣と言っても、遠くまでは行かない主義。今年は比較的近い大国魂神社に決めた。
もうすいているだろうと、午後1時ごろ鳥居の前に到着。不況の影響かどうかいつもより人手が少ないと思ったのも束の間、50mほど進んところから意外と人が多くなった。仲見世のよう出来た両側の屋台の間を4~5列で進むのだが、これが亀のようにしか進まない。
その長い長い行列を辛抱強く並んで進んで行くということが出来ない家族なのだ。以前来た時と全く同じように、得意の脇道行進に切り替えた。何回かこの神社に来ているが、未だに参道を最後まで進んだことがない。
勝手知ったる他人の家、ならぬ、勝手知ったる神社の脇道。ものの5分も歩いたか、本堂の賽銭箱の隣に出た。いつも賽銭箱の正面からでなく、横から賽銭を投げ込んだので、今回くらいは正面からお参りしたいよねと言いながら、賽銭箱にあと20mといった所から横入りさせて貰った。
しかし、そこからがなかなか前に進まない。気忙しいカミサンと娘は、その20mが我慢出来ず、また脇に逸れて前へ。仕方なく僕も迷子にならないように後に続いた。
何のことはない、いつもの通りに賽銭箱の横から小銭を投げ込み、お願い事。僕は精々家族の健康を祈っただけだが、カミサンは流石にしっかり者。
「いっぱいお願いしちゃった。初孫が無事生まれますように。娘が結婚出来ます様に。家族が健康で過ごせますように。景気が良くなって株価が上がりますように。30円でこんなにお願いしちゃ悪いかしら?」
「そりゃ、神様だって引き合わないと思うだろうよ」
「そうね、これだけ大勢の人の願い事全部聞いてたら神様も身が持たないわよねぇ」
「それに、脇道からズルしたのもお見通しだよ、きっと」
「じゃぁ、100円玉で、あなたもう1回お願いしといてよ。赤ちゃんが無事生まれますようにって」
そういうことじゃなんだが・・・、まあいいか、 「分かった、そうする」。


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