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男6人湯布院の旅(6) - 完 -

 
  2泊目は別府温泉に泊まった。幹事によると、一泊目湯布院、2泊目黒川温泉という、今人気ナンバー1とナンバー2の温泉に宿泊するプランだったが、1月のこの時期、黒川温泉は平日なのに予約が取れなかったとのこと。凄いことだな。この不況の時代に、ここだけは別世界みたいだ。

  僕等が泊まった別府温泉の旅館は、温泉が湧き出ている「地獄」と呼ばれる所がいくつもあり、「地獄巡り」として有名な観光地に比較的近かった。この旅館の「売り」は、想像を超える大きさの露天風呂とのこと。

   僕等は宿に着くなり、大浴場に直行した。この旅館はTさんが九州に来る時は必ず泊まる宿とのことで、黒川温泉には泊まれなかったが、ここなら一行が満足してくれる筈と思って幹事に進言してくれた所だ。

  確かに、物凄く大きな露天風呂だが、背の高い植物が周囲に密集していて、普通の和風露天風呂の趣ではなく、ジャングルの中に存在する天然の温泉のイメージだ。風呂の大きさは学校にあった25mプールの半分くらいの大きさだ。そして、奥に進んで行くと左の一角が、別方向に風呂が広がっていて、入り組んだ形のジャングル風呂になっていた。

  露天風呂の大きさとしては、昔、僕の師匠である「Fさんを囲む会」で行った、群馬の渓流沿いにある宝川温泉のそれに匹敵するだろうなと思った。その時もそうだったが、別府温泉も大きな露天風呂というのは、本当に贅沢な気分になり気持ちの良いものだ。

   翌日は、朝、短縮版「地獄巡り」を経験するために、宿から程近い「血の池地獄」(血の色をした湧き湯池)、「海地獄」(青色の沸き湯池)、それと「鬼石坊主地獄」(どろ湯の底からブクブクと湧き出る泡が坊主頭のように表面に現れる池)を見てから、一行を乗せた大型タクシーは、本ツアー最大のイベント、「本場ふぐ料理」を堪能するため、一路臼杵(うすき)に向かった。

   臼杵に到着後、食事の前に、国宝の「石仏」を見学した。Tさんが盛んに「マガイブツ」と言うので、僕は「まがい物」の「物」(モノ)を「ブツ」と読み替えているのかと思った。まがいものの国宝とは一体何?

  何の予習もしてこなかった僕は勇気を出してTさんに訊いてみた。この国宝は大分県に沢山現存する「磨崖仏」(まがいぶつ)と言われる、切り立った崖や岩を仏像の形に彫ったものの1つだとのこと。その石像は想像以上に立体的で、背中の部分が岩とくっ着いているだけで、横から見ても殆ど自立した石の仏像に見える。

   さて、昼食の場所へ。その前に、臼杵市内をタクシーでゆっくり巡廻して貰い、この町が城下町であることを知った。何処となく小さい頃育った故郷は信州松代に似ている気がした。

  昼食はTさんお勧めの小さな料理屋だった。ふぐ会席の店「にしきや」。料理人も女将もTさんが友達を連れて来てくれたことがとても嬉しそう。

  午後1時から「ふぐのフルコース」を美味しいひれ酒と一緒に頂いた。ふぐ刺し、ふぐ鍋、ふぐのお吸い物、ふぐおじや。流石に流れの急な海で鍛えられたふぐの刺し身は、腰があり、1枚1枚が厚みもあり、その歯応えはこれまでのふぐとは丸で違う別次元のものだった。

   Tさんが教えてくれた。「養殖のふぐと、天然のふぐの違いはひれを見れば分かる」と。狭い養殖場ではふぐ同士がぶつかるので、ひれが損傷しているが、天然のふぐのひれは実に綺麗だということだ。それを見分けるために、ひれ酒は絶対に飲まないといけないとか。
 
   3時を過ぎたところで、幹事のW氏が昼の宴会打ち切りを宣言。名残惜しさを胸に、大分空港に向かい帰路に着くことになった。こうして、僕等男6人の贅沢三昧二泊三日の大名旅行は終った。

  メンバー全員体重が2キロほど増えていた。あれから10日。この2キロがなかなか落ちない。
 
                            男6人湯布院の旅  -完-

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