沖縄(5)
午後4時頃「ココナッツ・ムーン」を出て、車3台で今晩のライブ会場となる「おきなわ道楽」というレストランに着いた。会場に入ったら、ステージの上に組み立て前のドラム・セットが置かれていた。「おきなわ道楽」のマスターが、東京から持ってくるのは大変だろうと、近くの学校からドラムを借りておいてくれたものだ。
僕がドラムの組み立てを行なっている間、Shifoはマイクの音量や音質の調整を行なっている。Shifoがおじさん風のPA(音響さん)にテキパキと指示を出す。それも終わり、1~2曲リハーサルを行って僕等の準備は完了。
次に高岡建治と岡崎友紀のリハーサル。高岡建治はいつも、僕等おじさんバンドをバックにジャズを歌ってくれるのだが、今日は、持って来たCDを流してカラオケをバックに岡崎友紀とデュエットなどを何曲か歌うということだ。
ところが、高岡氏が持って来たCDは中身が全然違うものだったことが判明。万一を考えて一緒に持って来たMDの方は間違ってないらしい。だが、「おきなわ道楽」のマスターに聞いてもMDプレーヤーはないと言うし困り果てていたら、PAのおじさんが、「じゃぁ、私が家から持って来ましょう」と言ってくれた。
その間、休憩となり、僕と先生はレストランのベランダに出て、夕日に輝く海を見ながら、マスターが振舞ってくれたビール・ジョッキを傾けていた。このレストランは、高台に作られ、且つ、2階建ての2階だから恩納村の海(東シナ海)が一望に見渡せるのだ。
30分も経っただろうか。PAのおじさんが車で戻って来た。デッキを片手に抱えてレストラン内に消えた。そして、10分後、また、PAのおじさんは同じものを抱えてレストランから出て行った。車に何か忘れ物でもしたんだろうと思っていたら、車ごとまた何処かへ行ってしまった。あれっ?
Shifoに訊いたら、「間違ってまたCDデッキを持って来ちゃって、MDを取りに家に戻った」とのこと。えっ! PAのおじさんがとってもユーモラスに見えて笑えるのだが、もう5時半を優に過ぎている。客は6時過ぎには入り始めるだろうから、リハが出来ないかも知れない。最悪、MDデッキが無かったら、高岡・岡崎のステージはどうするんだろう。
気を揉んでいたら6時過ぎて、PAのおじさんが違うデッキを持って現れた。今度は大丈夫らしい。ShifoがOKサインを送って来た。早速、高岡・岡崎ペアのリハーサルが行なわれた。既に客席には何組も座っていたが、何とか間に合った。高岡建治も自分が間違って別のCDを持って来てしまったことが原因だったので、PAの彼に平身低頭してたのが可笑しかった。
後からマスターが言うには、彼はPAの専門家ではなくて、バンドマンなので見よう見真似でPAを覚えたらしい。この日はボランティアでリハーサルにだけ付き合って貰ったんだとか。
結局彼はその後のライブの最後までPAをやってくれたのだ。乗り掛かった船とは言うものの、なかなか出来ることではない。心の温かい沖縄人の一端を見た思いだった。


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