信友会
東京在住の信州出身者が集う「信友会」という異業種懇談会がスタートして25年以上経つ。メンバーは11~12名の会だ。印刷会社やソフトハウス、事後処理機販売会社などの社長さん達、中小企業の経営者達がメンバーだ。
1月にはその中の6名で九州旅行を敢行、ふぐ料理を中心に、贅沢グルメ旅行となった。6人のジジイ達、子供の遠足のように思いっきりはしゃいだ旅行になった。ただ、それまでの「信友会」の集まりには必ず出席していたN氏の姿がなかったのは残念だった。
N氏は僕と同い年で、300人以上のSEを抱える大きなソフトハウスの社長さんだった。1年数ヶ月前までは。
そのソフトハウスは天下の野村総研からも業務受託していた立派な会社だった。他にも農協系の大規模システムの構築や、その他沢山のシステム開発業務を受注していたが、一昨年のリーマン・ショック以降、資金繰りが苦しくなり、その年の12月、遂に倒産の憂き目に遭ってしまったのだ。
その彼が、昨日、私の職場に訪ねて来てくれた。一年半振りの再会だった。風の便りに、元気に事後の処理に当っているとは聞いていたが、そうは言っても、30年も続いた自分の会社がなくなってしまったショックは、余人には測り切れないものがある筈だ。
会って、まず、第一印象は、聞いていた通り元気だった。以前のままに見えた。N氏は「この3月末で、全て決着するので、そろそろ謹慎を解いて昔の仲間に会いたくなった。完全に自由の身になる4月以降、信友会にも顔を出したい」と言う。
また、「受注先からの受託費回収も、思ったよりスムースに言ったので、何とか社員の未払い給与などを支払うことが出来た」と晴れやかな表情さえ浮かべていた。今後のことはいろいろ考えているようで、友人が大企業や団体に対して鬱病対策のビジネスをやっているので、その業務管理を手伝うと言っていた。
僕はN氏を励ますつもりで「鬱病予備軍に対して講演したら良いのでは? 仕事や人間関係や家庭の問題で悩むって、なんて恵まれているんだろうと思いますよ。私なんか会社倒産して一文無しになったんですから。でもこんなに元気ですよ。その秘訣は・・・、とかね」
チョッと冗談がきつかったらしい。彼は笑わなかった。この1年、N氏は相当に追い込まれたのだろうが、いつかそれを笑い飛ばせる日が来ることを祈る。


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