初孫
大阪に住む息子夫妻の家に行って来た。先月生まれたばかりの初孫に会うために。
布団に寝かされている彼女は、寝起きだったのか、僕等が訪れた気配で起こされてしまったのか、盛んに大あくびをしては、万歳の格好をしようとする。この世に生を受けて丁度1ヶ月。
息子の嫁さんが彼女を抱いてくれと言う。カミサンが、まず抱え上げて両腕の中へ。「もう30年も前だから、赤ちゃんをどう抱いたか忘れちゃった」とか言うものの、僕には堂に入っているように見えた。
本当に小さい。1ヶ月目の赤ちゃんって、こんなに小さかったかなぁ、と思った。暫くそのままあやしていたカミサンは、僕に彼女を渡そうとする。「俺はいいよ」。なんか壊しちゃいそうで、抱くのが怖かった。そのくらいにキャシャな存在だった。
お嫁さんの手前、「いやだ」とも言えないので、ぎこちない手付きながら、どうにかカミサンから受け取って僕の腕の中へ。抱きながら彼女を見ると、何と、彼女も僕の目をジッと見詰めている。
「あんた誰?」と言っているよう。そのつぶらで穢れのない瞳に見詰められて、僕は急に愛おしさを覚えた。それにしても、彼女もう目は見えているのかなぁ。息子に聞くと「最近、目で少し追うようになったから、見え始めてると思う」とのこと。
「ジイジだよ。宜しくね」と彼女に挨拶して、お嫁さんに彼女を無事返した。壊さないで良かった。ホッ。その後、近所の神社にお宮参りに行き、30分に亘る神主さんの丁寧なお払い等の儀式を受けた。
彼女、名前を「もも」という。今時の若夫婦はユニークな名前を付けるらしいが、息子夫婦も人後に落ちない。尤も、女の子を「ももちゃん!」と呼ぶのは、僕等の世代にとっても「山口百恵」を「ももえちゃん」と呼んでいたのに近いから、悪くはない。
ただ、僕の姉が昔飼っていた犬の名前が「もも」だったので、僕はどうしてもそのポメラニアンを思い出してしまう。だが、このことだけは息子夫婦に絶対に言わないようにしなければと決意した。それなのに・・・
息子が部屋から出て行ってのを見計らって、カミサンがお嫁さんに聞いた。
「彼、赤ちゃんの面倒、ちゃんと看てる?」
「ええ。毎日、お風呂に入れてくれたり、オムツ取り替えてくれたり、赤ちゃんに付きっ切りで話し掛けたりしてくれていますので、大助かりです」
「へぇ。それは意外ねぇ・・・。あぁ、そう言えば、息子が子供の頃、うちで飼ってたシェルティー(犬種類、シェットランド・シープ・ドッグ)の面倒だけはよく看てたからねぇ。赤ちゃんも物凄く可愛がるかもね」
おいおい、赤ちゃんを犬と一緒にするなよ。僕も姉の犬の名前を口走りそうになるじゃないか!


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