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あるシステムの物語 2

 
  ある日、兵頭一樹の元に梶圭太が現れた。東都損保の事務統括部門の部長として大阪の営業部長から本社に転勤して来たのだ。兵頭より入社年次が1年下の理事職の部長だ。システム部門が長い兵頭はその前年に東都損保の取締役システム部長に就任していた。2人はこの時が初対面だった。

「兵頭さん、今度事務統括部長を務める梶と言います。事務統括部の分掌事項を見ましたら、事務システムの統括権限があるようなのです。そんなことを含めて今後とも宜しくお願いします」

「兵頭です。こちらこそ宜しくお願いします」

「まだ、内緒なのですが、河瀬社長からは、『会社合併もあり得る。その時は、事務とシステムが最大の難問になる、その時に備えてお前を事務統括部門に配置するのだからそのつもりで』と言われています。兵頭さんにも同じようなことが降りて来ていますか?」

「社長からは盛んにいろんな質問が飛んで来ますよ」

  挨拶にしてはかなり微妙な会話が最初の出会いだった。兵頭がこの遣り取りで一瞬の内に理解したのは、梶が河瀬社長の信頼する腹心だということだった。

「兵頭さん、システム費用は年間どのくらいですか?」

「140~150億円ほどだね」

「仮に2社が合併すると300億近い額になるんですよね。それを1社分の費用で賄えれば、その半分がコストセーブ出来るって訳ですかぁ!」

「まあ、システム統合で必要なシステムが少し増えるだろうから、一社分という訳には行かないと思うけど、100億円くらいは統合効果を出せると思うけど」

「合併効果が一番大きいのはシステムですねぇ。いざ合併となったら、システム統合が一番やりがいのある仕事になりますよ、兵頭さん」

「それもそうなんだけど、梶さんね、その浮いた100億円を数年使わせて貰うと凄い戦略システムを作れると思うんだ」

「そう、今まで不可能だったそういう膨大なシステム投資が出来るようになるのが会社合併の積極的な意味の一つですよね。兵頭さん、是非その『新幹線システム』を目指しましょう」

  2人は勝手に会社合併に夢を広げて行ったのだった。
 

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