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あるシステムの物語 3

 
  兵頭が梶に「社長から様々な質問が飛んで来る」と言ったのは、つい先日も社長室に呼ばれ、河瀬社長からある内密の指示を受けていたことを念頭に置いてのことだった。

「最近、損保業界の再編を巡る様々な憶測記事が流されているのは知っているな?」

「はい」

「記事の内容は全く出鱈目もいいところだが、損保の自由化がここまで進むと、合併話がいつ起きても不思議でないのもまた事実だ」

「はい」

「私としても、一応あらゆる可能性に備えておきたい。そこで兵頭君、君に頼みたいのは、仮にどこかの会社と一緒になるとしたら、システム統合の観点から見て、何処の会社のシステムとだったら統合し易いか、逆に統合し難いのは何処のシステムかを教えて欲しいのだ」

「えー・・・、はい。ご指示の意味は分かりますが、各社のシステム内容については、アウトライン程度しか分からないんですけど、そんな前提で良いんでしょうか?」

「今までの損保協会の委員会などで入手した情報や、君の個人的な主観でも構わないから、会社別に比較表を作って欲しいんだよ」

「損保協会の各社交換資料がありますし、各社のシステム部長との委員会後の飲み会で得た情報などを元にした勝手判断でも宜しければ・・・」

「それで結構だ。但しこれは、君だけでやってくれ」

「分かりました」

  河瀬から指示を受けた兵頭は2日後、人知れず作成した資料を持って再び社長室に入った。

「兵頭君、ご苦労。参考に使わせて貰うよ」

「少し説明させて貰っていいですか?」

「いいよ」

「何をもってシステム統合し易いかし難いか、その判断基準ですが、私の考えたのは・・・」

  兵頭は河瀬社長に各社システムの評価の前提となる考え方を説明した。その前提での評価であって、他の判断基準なら別の結果になることを言いたかったのだ。

  兵頭の考えは、東都損保のシステムは中央に置いた大型のホスト・コンピューター内のシステムが優れているのではなく、ホスト・コンピューターに繋がった沢山のサーバー群とパソコン群でサービスしている事務支援システムが最大の特長であり強みなので、それと接続し易いホスト・システムか否かで評価判定するというものだった。
 

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