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朝日新聞の投稿欄に、新幹線で家族旅行した主婦が、子供が煩いと注意されて、もう電車で家族旅行はしたくない、と述べていたのがあった。座席で下の子が特に泣いたりぐずったりしたので、上の子とご主人を残して、母親は幼子を連れてデッキに出てあやしたりしたのだが・・・。
文句を言った客は、年配の女性で、電車からの降り際に、「あんた達、煩いわよ」と、この主婦にクレームを言ったという。
今年の2月、沖縄で「クーペ&Shifo」のライブに付き合って、僕も飛行機で飛んだ時、僕の座席の直ぐ後ろに、2歳くらいの児童を連れた母親が乗り合わせた。僕が席に着いた時には既にその子は泣き喚いていて、泣き方は尋常でない声の大きさなのだ。
まあそれでも、寝付くまでの暫くの辛抱だと我慢を決め込んだが、泣き声が凄まじい。耳を塞ぐのも、当て付けがましくて大人気ないなと思い、イヤホンをつけてボリューム一杯に音楽を聴くことにした。が、やっぱり後ろの泣き声が大きくて音楽も良く聞こえない。
僕は、一瞬、「子供を抱いて、歩きながらでも、あやしてくれよ」と思ったが、離陸直前だし、上空で巡航速度になるまで着席・シートベルト着用だから、それも出来ないか、と思い、ここは我慢我慢と覚悟した。離陸すると、気圧が変わって耳も痛くなるから、幼児は余計に泣き喚く。飛行機は赤ん坊や幼児にとって不快な乗り物なのだ。
しかし、僕の近くの乗客も、後ろの席の周囲の人達も、誰も非難めいた素振りを見せないのだ。他の乗客達はよく平気だなぁ。このような状況は何度も経験しているのだろうか。「辛抱するしかない」のを良くわきまえている人達だ。みんな偉い。腹を立てているのは僕だけか?
その時、「〇〇ちゃん、お願いだから、おとなしくして!」母親が、囁くように子供に懇願しているのが、微かに聞こえた。その瞬間、我慢の限界だった僕の心が、不思議と寛容になれたのだ。
僕は気が付いた。子供の泣き喚く声は何とも神経に障ることだが、それ以上に、母親が周囲の迷惑も考えず、無神経だったり、「仕方ないでしょう」と開き直っていたりすることこそ許せないと感じていたのだと・・・。
ところが、彼女が困り果てて子供に懇願している図は、無神経でも、開き直っているのでもなく、恐縮しきりの、肩身を狭くしている母親の姿そのものであり、寧ろ、同情すら覚えるものだった。
相変わらず幼児は、大きな声で泣き喚くが、最早それ程、気に障らなくなり、怒りの気持ちはなくなった。
冒頭の新幹線車内のあの年配女性。母親が周囲の迷惑を考えて、下の子をデッキに連れて行くなど具体行動を取っているのに、文句を言うというのが分からない。その年配女性こそ、沖縄行きの飛行機の僕の場所に座らせてみたかった。


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