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維新八策

                 橋下徹

  橋下大阪市長が代表を務める大阪維新の会が発表した「船中八策」(坂本竜馬の八策と区別するため、以下「維新八策」)がみんなの党を除く主要政党全てから批判されている。

  曰く、「些か、唐突の感じがする」「仕組みを変えるために憲法改正をすると言うが、そう簡単なことじゃない」「掛け捨て年金なんて乱暴な考え方には与しません」「参院をなくすのは反対。日本に二院制は必要」等々。

  これに対して、橋下氏は、「国政を否定しているんですから、国会議員で我々の方針に賛成する人は殆どいないでしょう」。維新の会幹事長で府知事の松井氏は、「そう批判する側(既存政党)と我々とはスピード感が違うということです」。

  どう見てもこの論争、既存政党に分が悪い。突き詰めれば、維新八策を「出来っこない。簡単に行かない。時間が掛かる」と、出来ない理由ばかりの既存政党。「あなた方がそういう及び腰で何もやらなかったから、日本の今の体たらくがあるのでしょう?」と、国民の多くは既存政党の無策の方こそ批判したくなる。

  この八策、僕が評価する点は、実現の可能性うんぬんの前に、「出来そうな範囲内で解決策を探ろうという、今までの小手先のやり方ではとても解決出来ないところまで、日本は来てしまっていますよ」と、明確なメッセージを投げ掛けている点なのだ。

  そこが既存政党と全く違うところだ。役人は所与の条件下で最適解を導き出すことには長けているが、条件そのものを変えて抜本解決を図ることはしない。それは政治の役割だ。だが戦後、経済で成功した日本は、しっかりした官僚組織がありさえすれば回っていたから、訓練されなかった政治の力は、国難に直面して全くの無力を国民に晒してしまった。

  国難とは、大震災・原発事故だけでなく、財政破綻に直面する国家財政、少子高齢化の急進展による年金・健保の危機、それに何と言っても日本経済の失墜と競争力が次々と失われていく日本の姿などであることは言うまでもない。これを八方塞がりと言うのではなかったか。専門家は閉塞感とか言うが僕にはいま一つピンと来ないので、僕は八方塞がりで貫く。

  この八方塞がりをどうすれば打開できるか。結局それを示し得た既存政党はなかったということだ。だから、大阪維新の会に期待が集まって行くのは必然だろう。

  ただ、一方で、第一次大戦で天文学的数字の賠償金を負わされたドイツに、その八方塞がりを打破する期待の星として現れたヒットラー(選挙で選ばれた)の再現を心配する向きもある。

  だが僕は、この見方は荒唐無稽だと思っている。もう既に他国に侵略して自国を潤す帝国主義の時代ではないし、何よりも日本はそれに失敗した痛い記憶がある。心配なら「侵略戦争はこれを永久に放棄する」と憲法に追加すれば良いのだ。

  僕は、そんなあり得ない心配をするよりも、今こそ、政治のリーダーシップを発揮出来る仕組み(首相公選制?)を早く作り上げて、無策・無責任・無意味な政治を終らせ、崩落する日本を一刻も早く食い止めるべきだと思っている。

5 comments

1 大屋地 爵士 { 02.17.12 at 5:54 pm }

シンドバットさん  私は大阪府民ではありませんが、大阪、関西の地盤沈下、閉塞感は東京のそれの比ではなく、関西人は肌で感じています。その閉塞感を打ち破ってくれるかもしれないという期待感が彼に集中しているのだと思います。大阪府民だけでなく、私の周りにいる関西人はほとんどが支持しているのではないでしょうか。首相公選、参議院廃止 ・・・、原罪の政治の体たらくでは賛成です。麻生元総理が国に口出す前に地方でやることをやれとか、こんな時代には英雄待望論が必ず起こるとか、朝のワイドショーで言っていたが、何もわかっていないなあと思うばかり。これでは自民の復権なぞ絶対ないでしょう。橋下構想は日々進化しているようですが、「体制維新――大阪都 (文春新書)」なぞお読みになることをお勧めします。

2 シンドバッド { 02.17.12 at 9:30 pm }

大屋地 爵士さん、ありがとうございます。早速読んでみます。
既存政党の鈍感さがどうしようもないなと感じています。出来もしないことをほざいているという態度がね。自分達を否定するアンチテーゼが大きな支持を得ているという意味が全然分かっていない。
別件ですが、2年以上前、猪瀬直樹と食事してた時、偶然橋本知事(当時)から電話がが掛って来て、猪瀬が「薩長連合だよ。大事なことは」と目の前で言っていたから、東京都と大阪府とが組んで、地方から日本を変えようと考えているんだなと、何となく分かったんですが、「船中八策」って名前で出して来ましたねぇ、遂に。

3 poko { 02.18.12 at 10:08 am }

あれほど首相公選制を主張していた神童さんが、橋下さんが大阪での市長選挙で圧倒的勝利を収めても全く反応がなかったのは、不思議に思っていました。

おそらく今首相公選選挙をしたら橋下さんの独走になるのが都合悪いと考えたのかな?とも推察しました。

私はどちらかと言えば、今の日本では首相公選には反対の立場を取ってきました。
理由は、中国やアメリカの影響を受けてるマスコミが首相を決めると危惧したからです。

マドンナ旋風が吹き荒れた頃なら土井たか子さんが、政権交代旋風が吹き荒れた頃なら菅直人さんが選ばれた可能性大だと思います。
それはそれで国民が選んだのだから仕方がないのですが、マスコミに先導されての危うさが怖かったのです。

橋下さんが大阪府知事になった時も東国原さんが宮崎県知事になった時もその危うさを感じていました。

しかし今回の大阪市長選での朝日新聞をはじめとするマスコミ、国家権力、の橋下さんに対するネガテイブキャンペーンを目の当たりにした時から考えが少しずつ変化してきました。

特に週刊文春、週刊新潮の橋下さんの出自に関してのネガテイブキャンペーンはすさまじいものがありました。
その週刊誌を読まなくても、新聞の広告ではいつもの倍近いスペースを取っていました。
あの記事は、国家権力の介入なしには絶対かけなかった記事だと私は思っています。

しかし橋下さんの強さは半端ではなかった。
選挙期間中街宣カーから「親父が暴力団?親父が首吊り自殺?それがいったいなんぼのもんじゃ・・・」と叫んでいました。
私はこの瞬間、マスコミを堂々と敵に回して勝利できる政治家が現れたと喜びました。
(私は権力に対するチェック機能はマスコミには絶対必要だと考えてますが、正しい批判と程遠いのがマスコミの歴史でもありましょう。マスコミは常にもっと巨大な権力にいつもおもねっている。軍部であったり、占領軍であったり、ソ連や中国であったり)

ただ今の日本にはこれぐらいの強さの政治家が必要だと考えますが、強くなりすぎたときどれだけ正しいチェックができるかが心配でもあります。

私は、国会議員、地方議員はある程度の足きりをして、そのあとくじ引きで選出した方が、いろんなしがらみを断ち切れたりできるので、きっといまよりましな気がします。

私が生きてる間に自主憲法を見ることができるか楽しみができました。
憲法残って日本が滅びないように祈るばかりです。

4 エイジ { 02.18.12 at 10:54 pm }

出てきましたね。いろいろ・・・橋下氏を潰してはならないことだけは確か!しかし、彼のどれほどを知っているか?ツイートを追いかけている。確かにすごい説得力、但し反論への反論は、論なしの罵倒で勝利するやり方はどうか?ツイッターでは全戦全勝!
だが、やっぱり潰されるかも、尊敬し、お世話になっている人、堺屋、紳助、たかじん・・・たかじんについてはその裏表を偶然知っている。関係無いけど・・・

5 シンドバッド { 02.20.12 at 12:18 pm }

Pokoさん、大統領にせよ首相にせよ、国民の直接選挙で選出する唯一のリスクは、閉塞感が強く覆う時代に、とんでもない人物を選んでしまうことだと思います。マスコミもそのことに加担してしまう危険性も、歴史が教えています。
その観点で言えば、米国の大統領選は約1年を掛けて選び、テレビ等にも候補者は晒され続けてやっと選挙となるやり方は、金を掛けて、ヒットラーのようなリスクを減らしているのが、知恵だなと思うのですがね・・・

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