プレミアムエイジ ジョインブログ
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ぼんのてい

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東京郊外に聖蹟桜ヶ丘という街がある。僕の住む町だ。もう15年以上前になるが、僕の務める損保企業ともう一つの損保企業が合併した時、僕の職場がこの街の駅前のコンピューター・センターとなった。なので、それ以来退職までの8年間、僕は自宅から徒歩8分で通う幸運に恵まれたのだった。

その合併の時、僕がシステムの責任者だったことから、会社合併のためのシステム統合には大変苦労したが、僕にとっての最大の統合効果は、合併会社のコンピューター・センターが合併相手社のそれに決まったことだった。

両社のコンピューター・センターのどちらを採用するかという選択に迫られた僕は、駅に近く優秀なSE社員の中途採用でも有利な、相手社のセンターを選んだ。自社のセンターは最寄り駅からシャトルバスで通勤するような場所だったからだ。

いろんな人から「神童は、自分の家から歩いて通えるから、相手社のセンターにした」と揶揄されたが、決してそんなことはない。たまたま僕が決定権者だっただけで、将来に亘って優秀人材が集まり易い場所を選んだに過ぎない。

僕が徒歩で通える場所となったのは、会社にとってのメリデメを慎重に測定した結果である。僕にとって最高の結果になったのは認めるが(笑)。僕を揶揄する後輩には、「20年思い続ければ、ことは成る」と諭したものだった。

つまり、僕が阿佐ヶ谷から聖跡桜が丘に引っ越したのは1980年で、合併後のコンピューター・センターがこの地の相手社センターに決まったのは2000年だった。その間僕は同じSEとして、当社でなく相手社に入社していれば、満員電車でなく徒歩で通勤できたのに、と思って来たことを、半分冗談で言ったまでだが。

とは言え、この街も当時と比べると高齢化が進み、また、大学や企業も都心回帰の流れなどがあり、徐々に寂しくなって来ている。だが、逆に、この聖蹟桜ヶ丘という街が大いに気に入り、ここに店を出すのが夢だったという京都出身の夫婦がいる。

鉄板焼きの店を出したのは1年前だと言うが、僕はついぞ知らなかった。先日、僕らのライブでたまに手伝って貰っている「ミノル&ヨーコ」から、「鉄板焼き屋さんでミニライブをやるので、是非来てください」との連絡が入った。

聞けば、マスターは昔フュージョン系のギタリストとして活躍した元プロだと言う。彼のギターをメインに「ミノル&ヨーコ」が歌うとのこと。通常の営業は夕方5時半からだそうだが、その前の1時間半、ミニライブを行なうらしい。尤も、営業時間中もマスターが乗れば演奏してくれるとのことだった。

日曜日の午後4時、僕は地元の親友Kとフッ君の3人でお邪魔した。既に「ミノル&ヨーコ」はリハを終えたと言う。他に、6人の客と、店のマスターと店を手伝うその奥様という顔ぶれだ。

その店は、Lの字にカウンター席が10席、テーブル席2席ほどのこじんまりした店だった。ただ、カウンター・テーブルに接する鉄板が広くて大きいので、高級ステーキハウスを思わせる作りだ。店の名は「ぼんのてい」。

さてさて、ライブと言うが一体どこで演奏するのか。マイク・スタンドが2つ、カウンタの中にセットされている。つまり、カウンター内の料理人が腕を振るう場所で、演奏に腕を振るうということか。

ライブ料金はワン・ドリンク付き千円。僕ら3人はビールを頂く。そしてライブが始まった。この店の常連客でSさんという方が、井上陽水の「帰らない2人」他をギターの弾き語りで聞かせてくれた。「ミノル&ヨーコ」がコーラス、マスターがギターの間奏(アドリブ)弾く。Sさんの声も良く出ているし、コーラスもギター・アドリブも素晴らしい。やるねー。

.            Sさん

.            Sさん

昔、新宿のゴールデン街のカウンター・バーに流しがやって来て弾き語りをするのを聞いたことがあるが、何となくうらぶれた感があった。しかし、「ぼんのてい」のフォーク・ライブは僕ら客席の目の前で、4人の演奏が聴けるのだから、ある種贅沢感があって「フォーク鉄板焼きの店」と言えるような新鮮さがある。

Sさんの十八番を何曲か聞いたあと、「ミノル&ヨーコ」の歌を聴く。ヨーコの「なだそうそう」、ミノルの「上を向いて歩こう」など、たっぷりと夫婦息の合った演奏を聴けた。彼らの歌も元々素晴らしいのだが、その全ての曲にマスターのギター・アドリブが入るのだから、余計に高級感と言うかハイレベルな雰囲気に包まれる。

.          ミノル&ヨーコ

.          ミノル&ヨーコ

と、そこへ38階佐藤さんと浜ちゃんがドアを開けて現れた。「ミノル&ヨーコ」から連絡を受けた「のどごし生バンド」7人の内、4人が参加したことになる。

次に、マスターの独奏で「サニー」をフュージョン風と言うかジャズ風に演奏してくれた。この曲、数年前まで「のどごし生バンド」で僕が歌っていた曲だったから、思わず口ずさんでしまう。佐藤さんと僕で、各コーラスの先頭で「サニー」と掛け声をかけると、マスターが何とも嬉しそうな表情を浮かべて演奏するのが微笑ましかった。

さすがはフュージョン系元プロ・ギタリストのソロ演奏である。通常、エレキギターのアドリブはロックだが、彼は、リズムこそ8ビートだが、本質的にジャズ・ギターなのだ。僕の耳には凄く心地よく聞こえる。

.        右がマスター  写真が暗くてスミマセン

.    右がマスター  写真が暗くてスミマセン

マスターに「僕らの若い頃は、ジャズ・ロックという名前で8ビートのジャズが流行り、その後フュージョンとなり、今やスムース・ジャズって言うように変遷して来ているんだよね」と言うと、「そ、その通りなんです。よーくご存知ですね、嬉しいです、そういう人に聞いて貰って」と返って来た。

ライブ終了後は、沢山のメニューの中から、幾つかの鉄板料理を堪能し、ビールやハイボールを強か飲んで気分最高のまま店を出た。上級者の音楽が聴けて、美味しい鉄板料理が食べられ、お酒も美味しい僕好みの店が見付かった。「ミノル&ヨーコ」に感謝したい。

 

2 comments

1 carmenc { 03.29.17 at 3:17 pm }

同じ頃西荻から転居しました。転居してからプレゼントや何かいいものを求めて何かと聖蹟桜ヶ丘のアートマンに行きました。食事も楽しみでした…
ジブリの「耳を澄ませば」の舞台でしたね。
今もその時買った輸入のシールや包装紙、便箋など今も持っていますし、アートマンのことは子供との間で今も話題にのぼります。
フュージョン系は今聴くと心地よいですね!
既にエリック・ゲイルもコーネル・デュプリも、2月にはLarry Coryellがいなくなりましたが、David T.は健在でよく来日するので、また生で聴けたらいいのですが…

2 シンドバッド { 03.30.17 at 1:05 pm }

アートマンですか。どこかですれ違っていたかも知れませんね。3Fの奥に喫茶店があるので、今も良く行きます。
流石に、良くご存知ですねぇ。私はフュージョンと言えばカシオペアしか思い出せませんが、この店のマスターはそのバンドメンバーではなかったようです。そりゃそうですよね。沢山フュージョン系のバンドはあったのですから。年代もカシオペアより若いようです。
でもメジャーからCDを出している(全然売れなかったそうですが)らしく、彼のギター・アドリブはレベルの高さを感じさせてくれます。

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